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2023年4月18日

副業をしている人はどんな風に働いているのか。副業を通じてキャリアにどんな影響があったのか。サンカクを通じて実際に副業を始められた方にインタビューしました。

副業実践者紹介

お話しを伺った方

Mさん(40代/男性)

本業

大手メーカー勤務。副業開始時は研究開発職、現在は新規事業企画職

副業先

株式会社未病マーカー研究所

<企業概要>予防医療事業。尿1滴から健康リスクをチェックする「未病マーカー検査」の開発・販売・検査受託ほか、検査機器およびキットの開発など
本社所在地:大阪府大阪市 設立:2017年 従業員数:4名


副業先での役割・業務

研究内容の検証、今後の方向性の検討。「研究者」と「営業」の橋渡し役

社会の役に立つためには、経験を広げる必要があると思った

― 副業を始めるまでのご経歴を教えてください。

大学の工学研究科卒業後、新卒で大手消費財メーカーに入社。微生物に関する基礎研究に12年間携わり、博士号も取得しました。
その後、衛生用品の商品開発に携わっていました。

― どのようなきっかけ・理由で副業を始めたのですか?

基礎研究を経て商品開発部門に移ったのですが、昨今は社会の変化のスピードが速く、自身の専門領域の知識や経験だけでは足りないと感じていました。
これからの時代、もっと視野を広げ、経験に多様性を持たなければ人や社会の役に立てないんじゃないか、と。

「ビジネスの勉強がしたい」と思ってネットで調べたところ、社会人インターンシップ「サンカク」を知ったんです。本業とは異なる分野に触れてみたいと思い、教育会社や電子機器メーカーなどの案件などに参加しました。

「サンカク」のサイトをたまにチェックしていたら、「ふるさと副業」を発見。「株式会社未病マーカー研究所」の募集を見て、自分の専門知識が活かせそうだと思いました。
年齢を重ねるにつれて「社会貢献」への意識も強くなってきていたので、「予防医療」というテーマにも興味を持ちました。また、僕は関西出身なので、関西の企業の役に立ちたいと思い、応募しました。

― 副業先ではどのような役割、業務を担っているのでしょうか?

株式会社未病マーカー研究所は設立してまだ数年のスタートアップです。社長が1人で営業を担っていたのですが、顧客の紹介や問い合わせが増えてきて対応できなくなり、副業者を募集したそうです。

採用されたのは僕を含めて3人。1人は大手企業グループ会社の現役社長で、経営や営業戦略への助言をしています。もう1人は製薬業界で営業やコンサルの経験が豊富な方。顧客折衝や契約の詰めを担っています。

そして、僕は研究内容についての検証、今後の方向性の検討を行っています。

また、同社には研究者が2名いらっしゃるんですが、ときに研究者の意向と営業現場の意向がかみ合わないこともあります。私は双方の立場や気持ちが理解できるので、間に立って調整役を務めています。

― 副業ではどんなペースで、どんな働き方をしていますか?

社長と副業メンバー3人でのミーティングが月1~2回、計2時間程度。調査業務に週1時間程度。
あとはSlackでコミュニケーションをとる中で上がってきた課題に対し、必要に応じて対応しています。

「スタートアップの動き方」が、新鮮で面白い

― 副業をしてみての感想、手応えをお聞かせください。

非常に面白いです。ずっと大企業にいるので、スタートアップの動きを初めて経験したんですが、ビジネスの仕方がまったく異なるところが面白い。
本業の会社では、何か提案すると、稟議のためにかなり時間がかかることが多いのですが、副業先ではその日のうちに決まって動き出す。そのスピード感が新鮮です。

また、まったく専門性が異なる2人の副業メンバーとチームを組んでいるので、新たな知識を得たり、助け合えたりするところにも面白さを感じています。
社長は銀行を定年退職した後にスタートアップにチャレンジしている方なのですが、経験豊富なのに謙虚で、学習意欲が強い。人間的に魅力的なので一緒に仕事をしていて楽しいです。

僕たち3人が入った時点に比べ、いろいろな仕組みが整ってきて、ロードマップも描けてきました。土から芽が出てきているので、今後の成長が楽しみです。

― 「社会人インターンシップ」と「副業」の違いをどう感じていますか?

社会人インターシップでも、いろいろな気付きがあり、視野が広がりました。ただ本業に戻ると、実務に活かせない部分は徐々に忘れてしまうのかな、と。一方、副業は「継続」するし、「自分事としての意識」を持って取り組むし、「PDCAを回す」ので、学びがしっかり身に付く感覚があります。
それに、自分が動いたことによる変化や成果も見えるので、社長から「ありがとう」と言われるとうれしいですよね。役に立てている実感があります。

「本当にやりたいこと」に気付き、新規事業企画部門へ異動

― 副業を経験したことで、ご自身に変化や成長はありましたか?

20年続けてきた研究部門から離れ、自ら希望して新規事業企画部門に異動しました。
今、40代前半ですが、数年前から「今のキャリアのままで人生を終えるのは嫌だな」と思っていたんです。
社会人インターンシップや副業で社外に出てみて、株式会社未病マーカー研究所の社長や仲間たちと協働して、「新しいものを生み出す、立ち上げるのは面白い」と実感しました。

そもそもなぜ自分は研究職を目指したのか。原点に立ち返ってみると、「世の中にないものを見つけて、それで人々の生活が変わればいいな」と考えていたから。そこで、新規事業企画の部門に異動願いを出し、受け入れられました。

20年築いてきた「研究員」のポジションを捨てることには、怖さも感じました。でも、副業先の社長の姿を見ていて「こんなふうに頑張ればいいんだ」と思えたんです。

自身の中の変化といえば、もう一つ。「会社は一つじゃない」という意識に変わりました。長年同じ会社に勤務するうちに「失敗すると終わりだ」という概念にとらわれ、気を使って過ごしていました。
でも今は、「もし失敗しても別の選択肢がある」と思えるようになりましたね。副業を経験したことで「別の会社でもやれる」「一つの会社に縛られる必要はない」という感覚を持てたので。

― 新しい部門でのお仕事で、副業での経験は活かせそうですか?

「スピード感」「異分野の人たちとのコミュニケーションの取り方」などが活かせると考えています。分野が異なればロジックの立て方や物事の進め方、対人関係の作り方が異なることを学びました。
新規事業を生み出す仕事には、多様な部門、あるいは社外の人々との連携が必要です。その点で、副業を通じて異分野の方々と協働している経験が活かせると思います。

― 今後も副業を続けていこうと思いますか?

続けるつもりです。仕事は複数、同時で持っていたほうがいいと感じています。
例えば、夢が一つしかないと、その夢が叶わなかったときに落ち込みますよね。でももう一つ夢があればそちらを目指せばいい。
仕事を野球のバッターボックスに例えると、1打席しかなければ三振を恐れて思いきりバットを振れなかったりする。でも2打席あれば思い切ってフルスイングができる。副業があることで、本業で迷わずチャレンジができると思っています。

― これから副業を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

後輩たちにも「副業やったほうがいいよ」と伝えることが多いです。確実に世界が広がりますから。
若い人であれば、副業を通じて自分に足りないものに気付き、それを勉強すればいい。ベテラン層の方々も、これまでの経験と培ったノウハウを異分野で活かして新しいものを生み出せれば、やりがいも感じられるし面白いと思います。

実際の企業担当者の声

企業担当者様の声

座談会や個別面談を通じて、事業成長の支援をしていただけそうな3名の方を採用いたしました。
Mさんは、微生物領域で博士号を持ち、大手メーカーで基礎研究や商品開発を経験している方。当社製品とのシナジーが期待できました。
しかも、いわゆる「学者肌」ではなく、広く興味を持って「ビジネス」も学んでいこうとする柔軟な姿勢をお持ちで、当社の研究者と営業の中間的立場で活躍いただけるのではないかと思ったのです。

当初は「営業サポート」を目的に募集したわけですが、お会いしてみて「それだけではもったいない」と思いました。
「より事業の根幹に関わっていただくほうが、彼らのレベルに合っている」と。稼働後は戦略の部分からご相談しています。

Mさんには、当社の研究内容についての検証、今後の方向性の検討などを担っていただいています。当社には2名の研究者がいて、検査をより極めたり検査項目を増やしたりすることに意欲的なのですが、これまで「相談相手」がいなくて困っていました。
大手メーカーの研究職であるMさんの支えは非常に心強いですね。
また、「研究者」と「営業」では視点や考え方が異なるのですが、Mさんに間に立っていただくことで意見のすり合わせがスムーズになっています。

現在、検査処理能力アップ、アプリ開発などの取り組みも進めていますので、これらが軌道に乗ってくれば、次の展開を皆さんに考えていただきたい。スケールアップの道筋が見えてきています。
今後、副業者だけで「事業部門」にすることも考えています。本業がある方々なのに、対話の中で「うちの会社」と言ってくださっているのがうれしいです。
当社の「戦略部門」として、チームワークをさらに発揮していただけるとありがたいです。これから新たに人材を迎えることがあれば、そのチームに加わっていただくことで発展していけるのではないかと期待しています。

お話しを伺った方

株式会社未病マーカー研究所
代表取締役 岡田 隆彦さん

企業HP:https://mibyoumarker.jp/


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