理想の未来につながる第一歩?

社会人がインターンシップをする目的とは

最近注目されている社会人のインターンシップ。興味はあるけれど、参加したら成果があるのか、そして、そもそも自分に参加資格があるのか?など、不安に思う人もいるでしょう。企業が学生だけではなく、社会人のインターンシップを実施するようになった背景にはどんなことがあり、実際に参加した人は、どのような目的で参加しているのでしょうか。この記事では、企業と参加者にとっての「インターンシップの目的」について紹介します。

社会人のインターンシップが生まれた背景

学生向けのインターンシップは欧米の慣習を導入する形で約20年前から日本で広まってきました。1997年に、文部省、通商産業省、労働省(いずれも当時)がインターンシップを総合的に推進するために、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を提示。

この中の「インターンシップとは何か」の項目では、“アメリカでは実施期間や実施形態等によってインターンシップと称するかどうかを区分する場合もあるとされているが、日本では共通認識や定義が確立しているわけではなく、学生が自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うこととして、インターンシップを幅広くとらえている”とされています。

日本では、この1997年の提示が、学生向けインターンが普及する一つのきっかけとなりました。2005年の厚生労働省発表では、全国で約12万人の大学生がインターンシップに参加し、一定の成果を上げていると報告されました。また、文部科学省の調査によると、2015年には約63万人の学生がインターンシップに参加しています。

こうした学生向けインターンシップの例を踏まえ、対象が学生から社会人へと広がっていったのが社会人のインターンシップです。

2016年には、大学改革や地方創生の動きを見据えた中で、適正なインターンシップの推進などに向けた方策を検討するために、「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」が設置され、2017年には「インターンシップの更なる充実に向けて」と題し、議論の取りまとめが公表されました。その中の「多様なインターンシップの推進に向けて」の項目で、リカレント教育プログラムにおけるインターンシップとして、転職・再就職に向けたインターンシップの活用推進についても言及されています。

これは、近年内閣府などで推進する働き方改革の考え方にも通じるものです。内閣府は2017年より「人生100年時代構想」を推進し、サイトの冒頭では「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」という理念が紹介されています。

転職や再就職だけでなく、個人のキャリア形成にとっても、企業の成長にとっても有効な方法の一つとして今後ますます「社会人のインターンシップ」が注目され、広まっていくと考えられます。

実際、当初は転職のミスマッチを解消したいという事情から、社会人のインターンシップを実施する例が増えていましたが、最近は、異業種体験やスキルアップなど、転職を目的としないインターンシップも注目されています。

なぜ社会人になってからインターンシップをするのか?学生との違いは?

学生(就活生)は「将来のキャリアに通じる就業体験」が目的

学生がインターンシップをする目的はさまざまありますが、先ほど紹介した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」によれば、「キャリア教育への効果」「高い職業意識の育成」「自主性・独創性の育成」などとされています。学生のうちから企業の実践の場を体験し、その経験を学業の場に持ち帰ることで自らの学びも一層深めることができるといった効果も期待できます。また、企業と学生双方にとって採用後の定着がよりスムーズになるであろうということもいえるでしょう。

そして、学生が一番重視したいのは「就活に役立つ」という点。2005年の報告では「業種や職種について知ることができた」「社会人のイメージが明確になった」「自分の適性や趣味が分かった」「社会に出る自信がついた」などの学生の回答が得られています。インターンシップは受け入れ先企業への就職に直接結びつくというよりも、職種・業種の選択や一般的な就活にとって大いにプラスになる経験であるといえます。

これは社会人のインターンシップでも同様です。転職を含めたキャリア形成において非常に有効です。この点について、このあと説明していきます。

社会人の目的は「異業種体験」「スキルや人脈の獲得」「転職のための体験」「副収入への意欲」などさまざま

社会人がインターンシップに参加する目的は「異業種体験」や「新たなスキルや人脈の獲得」など、人それぞれ実に多様です。

「サンカク」が、「特定非営利活動法人 二枚目の名刺」と協働で行った独自調査「副業を含む社外活動*がキャリア意識に与える影響」では、主に以下の4点に集約されることがわかりました。

〈社外活動に参加する目的と代表的な理由の一例〉

1)社会貢献
  • ・困っている人の役に立つ
  • ・社会課題の解決に取り組むために参加する
  • ・会社以外の場所で感謝される、など
2)新規の経験・人脈の獲得
  • ・本業では得ることができない新しい知見やスキル、経験を得る
  • ・新しいネットワークを広げるために参加した、など
3)キャリアチェンジの検討や準備
  • ・転職先を探す
  • ・本業では自分の思うように仕事を進められない
  • ・将来の転職に備えてアピールできる実績を積む、など
4)収入を得る
  • ・副収入(趣味に充てる資金)を得る
  • ・副収入によって生活費を得る、など

この調査では、正社員300人以上の企業に勤める1000人の社会人に、インターネットによるアンケート調査を行っています。社外活動として、「副業」「ボランティア活動」「プロボノ活動」「趣味やサークル活動」「地域のコミュニティの活動」「勉強会・ハッカソン」「自社内の机の下の活動(20%ルールなど)」「異業種交流会」の8種類を例示し、一つ以上の参加経験のある人を「社外活動経験者」と規定し、分析しています。

社会人のインターンシップは、「副業を含む社外活動」の一つと位置付けることもでき、自身のキャリアを見据えた中で、さまざまな目的をもって本業以外の活動に参加している様子が理解できます。なお、サンカクが企画する社会人のインターンシップは、主に1DAYのディスカッション形式です。ディスカッションとそのフィードバックから、人脈や新たなスキルの獲得につながる気付きが得られます。また、短い時間から参加できることから多種多様な企業とのインターンシップの経験を積むことができ、転職前の就業体験の機会にも活用できます。

自分の価値の再評価がキャリアを見直すきっかけに

社会人のインターンシップの大きな魅力は、自分の価値を客観的に再評価できるという点です。このことは、自分が現在勤務する会社の中でのキャリア形成を考える人にとっても、転職などのキャリアチェンジを検討している人にとっても大いに役立ちます。

インターンシップにおいて他者から得られる自分への評価は、「プラスの評価」も「マイナスの評価」も、自分の会社内の評価とはまったく意味合いが異なり、どちらも今後に活かすことができます。

例えば、1Dayインターンシップではディスカッションなどの場で自分が出した意見が評価されて取り上げられることもある一方で、意見に論理的な弱さがあるなどの率直なフィードバックも受けることができます。これらの場面で、自分が述べる意見やアウトプットに「プラスの評価」を得られた場合は、職場のしがらみなどがない他の人から受けた客観的な評価であることから、自分にとっての自信になります。また、自分が日々の仕事で普通に実践しているが特にほめられることもなかった意見や仕事習慣が社外では自分の「強み」として通用すると気付くことができる場合もあるでしょう。一方「マイナスの評価」を受けた場合は、その部分を今後自分の学びで強化していけばいいということになります。今後のキャリア形成にとって不可欠な克服すべき弱点を知ることができ、厳しい評価こそむしろ貴重なアドバイスと受け止めることができます。

社会人のインターンシップでスキルアップや新たなスキルの獲得も

各分野・各業種の成長企業が社会人のインターンシップを実施しています。そこではプログラマーやデザイナー、不動産やマーケティングの専門家というように特定のジャンルのスキルを有する人が求められる場合もありますが、「テーマに興味と関心があれば経験は特に問わない」という条件で募集している案件もあります。

前者のような自分の経験やスキルを活かせるインターンシップに参加する場合は、自分のスキルのレベルを知り、スキルアップの必要性や方向性を知ることができます。また、後者のような経験を問わないインターンシップに参加する場合は、有効な情報を入手できることに加え、ディスカッションを通して新たな着想やスキルを獲得することにもつながります。「サンカク」が実施している1Dayインターン(企業とのディスカッションやワークショップなど)を例に紹介しましょう。

1)他の企業や業界ならではの最新情報を得る

  • 企業から資料として提示されたり、ディスカッションで紹介されたりするリアルな情報が得られます。自分が属する会社・業界との距離感を知ることもできます。

2)新たな視点を知る

  • 自分の意見に対するフィードバックを受けて、自分に不足していた視点や知識は何なのかがわかります。

3)ファシリテーションスキルについて理解し、学ぶことができる

  • チームの意見を過不足なくその場に提示し、議論によって深め、最後は相互理解に基づくアウトプットに導くまでを一定時間内に行うのがファシリテーションです。業界を問わず必要とされる、こうした議論のスキルを学ぶことができます。

企業はなぜ社会人のインターンシップを実施するのか?

採用のミスマッチを減らし、有能な人材を確保したい

社会人のインターンシップの実施は企業にとってもさまざまなメリットがあります。その一つが採用のミスマッチを減らせるということです。これは、学生向けインターンシップの目的とも共通しています。

新卒・中途採用を問わず、採用担当者が重視することは第一に「採用した人材が辞めずに定着すること」、そして第二に「採用した人材が成長し、会社に貢献してくれること」です。しかし、残念ながらこの2つの目的に該当しないケースも一定割合発生してしまいます。これが「採用のミスマッチ」です。採用のミスマッチは企業にとって損失であるだけでなく、採用される人材にとっても当然避けたい事態です。

どんな人が自社の環境の中で活躍できるのかについて、インターンシップを通じて企業は多様な人材を迎え入れることにより、ノウハウを蓄積することができます。これにより採用のミスマッチが減ることは、企業にとっても求職者にとっても大いに望ましいことです。企業では自社の風土に合う人材だけでなく、組織を活性化してくれそうな、自社にいないタイプの人材も必要です。社員の採用を含めたトータルな人材戦略が企業にとって重視される中で、社会人のインターンシップもさらに活用されていくと思われます。

社外の知恵やアイデアを活用する「オープンイノベーション」への期待も

ご紹介してきたように社会人のインターンシップは人材採用分野における手段の一つとして定着してきましたが、最近では新たな役割が重視されるようになってきています。それは、企業の成長の必須要件であるイノベーションにおいて「社外の知恵を活用する」という目的のための社会人のインターンシップの活用です。

その背景には、近年の「オープンイノベーション」を推進する考え方があります。オープンイノベーションとは、企業において、社外の知識・資源を積極的に取り入れようという考え方です(兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言  中小企業庁、2017年)。新しいサービスやプロダクトの開発スピードが加速化するなか、オープンイノベーションにより社外の知恵を活用することが求められています。具体的には他の企業や社外の人材、大学、研究機関などと協働することです。

しかし、オープンイノベーションの必要性は認識されていても、特定の企業の開発チームがいざ「社外の人材や他企業などをセレクトして迎え入れ、プロジェクトを推進」しようとしても、人件費はどのように負担するか、社外人材の本業への支障の懸念など、今までの会社の枠組みでは解決しにくいハードルがあり、簡単ではありません。

この問題点をクリアできるのが「社会人のインターンシップ」です。すでに実施されている社会人のインターンシップの枠組みを企業は新事業開発などのイノベーション分野で積極活用しようとしています。今や、社会人のインターンシップへの参加は、自分のキャリア形成に役立つ体験というだけでなく、「成長企業のイノベーションの現場に貢献できる」というワクワクするチャレンジでもあります。

社会人のインターンシップへの参加で、自分のキャリアへの自信を高める

最初に紹介した社外活動への参加に関する調査報告のレポートで、興味深い分析結果があります。

・参加の目的として「社会貢献への意欲」「新規の経験・人脈獲得への期待」を挙げた人は「他社と影響を与え合う機会」を得ている。
・「他社と影響を与え合う機会」を体験することによって「自分のキャリアに対する自信を高める」ことができている。
・一方で、社外活動への参加の目的が「キャリアチェンジの機会探索」や「副収入への意欲」のみであると、社内・社外で活躍できる自信を得る結果には結びつかない。

社会貢献や経験・人脈の広がりに期待して「他者と影響を与え合う機会」を体験した人は望み通りの結果を得ている一方で、転職のチャンスや副収入などが主たる目的である場合は、キャリアへの自信という成果を得にくいという結果です。

「他者と影響を与え合う機会」のひとつが社会人のインターンシップです。社会人のインターンシップは、例えば1Dayインターンシップのように、本業への支障の不安がなく参加のハードルも低いスタイルから気軽に参加してみることができます。そして、自分のキャリア形成において自信を高めることを目的として、社会人のインターンシップという機会を大いに活用すれば、社内・社外どちらでもやっていける自信につながると期待ができます。

最初は転職や副業などへのちょっとした興味から社会人のインターンシップへの参加を検討してみる人も多いでしょう。しかし、ご紹介してきたように社会人のインターンシップの価値はそれにとどまりません。

また、サンカクでは「サンカクパートナー制度」というサンカクの一員としてサンカクのインターンシップを企画していく1ヶ月から3ヶ月ほどの成果へのコミット重視型の社会人のインターンシップの仕組みもあります。

長い目で見た自分のキャリアプランやスキルアップ、そして将来に向けての自信を得るという大きな目的を持って、社会人のインターンシップを選び、体験してみることをおすすめします。

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