副業で確定申告はいくらからしないといけない?税金の種類や申告時の注意点
副業を行い収入が増えるに伴い、納税金額も変わってきます。いざ納税するときに慌てないためにも、税金について基本的な知識を身につけておきましょう。
この記事では、課税制度や確定申告の必要性について説明します。副業を行う上で、増える税金を理解しておくことで、納税や確定申告を忘れてしまうリスクを最小限に抑えましょう。
副業を始めることで、課税される可能性のある主な税金は「所得税・復興特別所得税」と「住民税」の2種類です。また副業の状況によってはさらに「個人事業税」や「償却資産税」が課される場合もあります。
「所得税」とは、1年間の総所得金額から所得控除を差し引いた課税所得に応じて、税率(5%~45%)を段階的に適用して算出されます。(さらにその算出された所得税に2.1%の復興特別所得税等も課されます)
「住民税」とは、都道府県民税と市町村民税の総称です。所得税同様、課税所得に対して約10%が課されます。
所得の種類について
・給与所得
副業のアルバイトやパートで得た収入は、給与所得となり、金額の有無を問わず課税対象として、支給時に源泉徴収されます。またその副業で得た収入金額が20万円を超えた場合には確定申告が必要となります。
・雑所得
ネットの広告収入やフリマアプリで仕入れた商品を販売した場合などは、一般的に雑所得になります。ただし、この雑所得(収入金額-必要経費)が20万円以下の場合には申告しなくても構いませんが、20万円を超えた場合にはこちらも確定申告が必要となります。
そのほか、不動産の賃貸から得る不動産所得、事業として継続し、収入を得た場合の事業所得などがあります。
住民税は、都道府県民税と市町村民税(東京23区は、特別区民税)の総称のことであり、その年の1月1日に住所がある市区町村に対して納付義務が発生します。地域のゴミ処理、教育、防災などの住民サービスに使われる税金です。税率は2つに区分されており、所得に関係なく一律の「均等割」と、所得によって変動する「所得割」を合わせて納税を行います。この「所得割」については、所得税と同じく「総所得」から「所得控除額」を差し引いた「課税所得」に対して10%が課されますが、この「所得控除額」の計算方法が所得税の計算と異なるため、所得税の納付が生じなくても住民税が課されるケースがあるので注意しましょう。
また所得税との大きな違いとして、今年の所得に対する税金を翌年以降に支払うことが挙げられます。
住民税の納付方法には、次の2種類あります。
特別徴収 | 毎月の給与から住民税を天引き |
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普通徴収 | 納付書で一括または4期分割で自ら支払う |
徴収方法の選択について
副業に係る住民税の徴収方法はある程度自由に選ぶことができる反面、どちらもメリットとデメリットがあります。
普通徴収(自分で納付) | 特別徴収(給料天引き) | |
メリット | ・本業と副業の住民税を分けて納付できる | ・住民税を1カ所でまとめて支払うことができる ・納税忘れ、うっかりミスの回避 |
デメリット | ・納付の手間がかかる ・納付期限が決められており、納付漏れが起きる可能性 | ・本業の会社に副業の存在や所得額が知られる可能性 |
副業をしていて、その内容や収入が本業の勤務先に知られてしまうのかは気になるところです。本業の勤務先と関わる可能性がある住民税の徴収方法は、副業の所得の種類によって違ってきます。
副業で給与収入を得ている場合の住民税は、原則として本業の勤務先で給与を合算して算出、特別徴収されることとなります。そのため、副業の内容まで知られなくとも収入規模は知られる可能性があります。
一方、副業が給与収入以外の場合には、住民税の徴収方法が選択できますので、普通徴収を選べば本業の勤務先に副業の内容や収入額を知られない可能性が高いでしょう。とはいえ、本業先に副業を届け出なければならなかったり、似たような業種で競業避止義務を侵していたりとトラブルが生じる可能性はありますので、くれぐれも注意しましょう。
一般的に副業の所得が20万円以下の場合、必ずしも確定申告を行う必要はありません。しかし、先ほど述べたように課税所得の計算方法が異なるため、住民税の申告は必要となる場合が稀にあります。
住民税の申告をせずに放置してしまうと、不申告加算金や延滞金を課せられるリスクが発生します。数年以内であれば、さかのぼって申告できますので、気づいたら早めの対応をとることをおすすめします。
【監修】
八重洲税理士法人
税理士 曽宮 崇広