副業の目的は?

政府の施策と副業が生み出すメリット

「副業元年という言葉を耳にするけれど、自分にも関係があるんだろうか?」「実際に始めるとなるとなかなかきっかけが見つからない」「副業を始めるベストのタイミングはいつ?」「副業にはどんなメリットがあるの?」という方は多いのではないでしょうか。政府が働き方改革を推進し、副業を後押しする企業が増えていますが、今まで副業をしたことがない人には未知の世界ですよね。今回は副業を考えている人に、政府の指針や企業側の副業に対する考え方と、新しい働き方である「副業」にどんなメリットが隠れているのかをご紹介します。副業は、キャリアアップの方向性を探る一助になることがわかるでしょう。

働き方改革と副業の推進

働き方改革で政府が副業を解禁する目的

2016年9月に政府に設置された「働き方改革実現会議」では、政策課題の一つとして働く人が個人の専門性や能力を発揮できる機会を増やし、生産性が高い社会を実現することが掲げられました。日本の経済を活性化するため、新事業や創業が新たな雇用と需要を生み出す必要があるとされています。

しかし今のところ、日本の開業率はOECD 諸国の中でも低位にとどまっています。副業をきっかけに、新しい事業機会や自分の潜在的な起業スキルを知ることが、潜在的創業者を増加させ、新事業創出社会の実現につながるのではないでしょうか。2018年1月より、厚生労働省は「副業や兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、2020年9月、2022年7月にも改定され、柔軟な働き方を推進しています。少子高齢化が進む中、労働生産性を向上させるためには従業員の能力やスキルの有効活用が必要とされます。企業の枠を超えて個人のスキルを高めることは、今後ますます望まれていくことでしょう。

また、少子高齢化や都市部への人口集中といった課題は解決のめどがついていない状態です。地方の中小企業や公益的な事業分野への人材供給に対する問題に対しても、都市部で働きながら、ノウハウを活かし、地方で活躍することが期待されています。

キャリアの可能性を広げる副業のメリット

収入だけを目的としない新しい副業の形

副業をする目的として「収入を増やしたい」という理由は変わらず上位にあるものの、最近は新しい副業の形を求めるケースもあります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2018年に発表した、「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」では、労働者が副業・兼業を望む理由として(複数回答)、「自分が活躍できる場を広げたいから」「さまざまな分野における人脈を構築したいから」「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため(オープン・イノベーションを重視)」といった、直接的な収入増加を目的としない回答を選択した人が各30%以上いました。また「転職したいから」「起業したいから」など、具体的な自己実現を目的に掲げるケースもあります。

副業がもたらすメリットについて
副業を行う労働者側のメリットは、所得の増加はもちろんのこと、

・本業を続けながら、社内では得られない新たなスキル・経験を高め、本業に活かすことができる
・本業を続けながら、リスクを最小限に抑えつつ起業・転職の準備ができる
・本業の所得を確保しながら自己実現の追求、幸福度の向上ができる

などが挙げられます。

将来に向けたキャリアアップを見据える意味でも、副業にチャレンジしやすい環境が整っているといえるでしょう。

副業ができないケース

副業のメリットについて説明しましたが、副業を始めたくてもできないケースも存在します。具体的な内容を確認しておきましょう。

会社の就業規則によって副業が禁止されているケース
株式会社リクルートキャリアによる「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」では、兼業や副業を容認している企業は、全体の28.8%、3割に満たない数字との結果が出ています。
また、2018年、経済産業省関東経済産業局によって行われた「兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査」では、当時、兼業や副業を行っている企業は1割未満とされています。今後の意向として「兼業・副業を認めても良い」と考えている企業は40〜50%であるものの、各企業が副業解禁を掲げるまでには、まだ時間がかかりそうです。副業をしたいと考えていたとしても、就業規則に拘束され、実行できないケースがあります。

会社では副業が禁止されていないが、できないケース
就業規則では問題ないものの、実際には時間や体力、健康面などによる制約があるケースも少なくありません。具体例をいくつか挙げておきます。

・本業が多忙のため、副業に時間を割くことが困難
・体力的な問題など、健康管理への不安
・本業と副業のタスク管理の困難さ

副業のメリットを理解していたとしても、メリットを上回る「副業ができない理由」がある場合には、社会人のインターンシップという手もあります。キャリアアップやスキルアップしたい方にはおすすめです。

企業が考える副業の活用法とは

企業が恐れる情報漏洩。副業を禁止する理由

就業規則で副業を禁止する企業が大多数を占める理由は、一体どこにあるのでしょうか。ここでは、禁止を掲げる具体的理由を見ていきましょう。

本業への支障
長時間労働により、従業員の心身に悪影響を及ぼす可能性が高まることや、本業の生産性低下リスクが考えられます。

人材流出や人手不足
副業を機に他社への転職、独立を視野に入れる従業員が増加することで、人材流出のリスクが高まります。また、副業によるスキル向上、経験値増加効果に対する懸念や、副業を行うことにより本業の時間が制約され人手不足を招く可能性もあります。

従業員の健康配慮
就業時間外の活動に対し、企業の管理責任の範囲が不明瞭であり、問題が起きた際には企業の責任が問われる可能性があります。企業は社員の健康管理を行う義務がある一方、業務時間外(副業の範囲)に対し、どこまで関与するべきかといった問題もあります。

情報漏洩をはじめとしたさまざまなリスク管理
本業で知り得た情報漏洩、同業他社での副業による損害発生などのリスク発生も考えられます。従業員が兼業・副業を始めた場合、兼業・副業先と労働時間を合算したり、社会保険料を分け合って負担したりすることになるため、社会保険料計算の事務コストや割増賃金の支払リスクなどの発生が考えられます。発生に伴う負担、事務コストと、副業を認めることによるメリットを比較することは、なかなか困難です。

政府が副業解禁を推奨する一方、副業解禁に対し消極的な考えを持つ企業も少なからず存在しています。

本業へ好影響をもたらす企業の副業活用方法

副業に対し消極的な会社が存在する一方で、全体を見ると、副業を認める企業が増えていることも事実です。
企業が副業を認める理由として

・社員の収入増加につながるため
・人材育成や従業員のスキル向上
・(離職せずチャレンジできることによる)定着率向上、継続雇用につながるため
・新事業の促進につながるため
・社外の人脈形成につながるため

などが挙げられます。
副業を従業員の積極的なスキルアップやチャレンジの場と捉え、新たな知識や顧客、経営資源を獲得してくれることを期待し、副業を解禁した企業が多いことがわかります。

今後の副業に対する企業の動きについて
副業解禁をしている企業が、副業を認めている理由の上位に「特に禁止する理由がない」ことが挙げられています。副業を認める流れは生まれつつありますが、「就業規則への明示が済んでいない」「労働時間合算による手続きの煩雑さ」などが問題となっています。今後はより一層環境整備が期待されます。

副業を始めるには

収入?スキル?趣味?目的を明確に

副業を開始する目的は従来に比べ大きく変化しています。そもそも、副業は本業ではなく、誰かに強制されるものでもありません。インスタやブログなどを使ったアフィリエイトなど、参入が容易な副業もありますが、「ただ何となく」「周囲が始めたから」などの理由で目的を持たずに始めてしまうと、継続は困難です。
これから副業を始めようと思っているのであれば、まずは「一体、何のために副業を始めたいのか」「副業を始める目的は何か」を、検討しておくことをおすすめします。

安易に副業を開始するリスク

ここまで、副業のメリットについてお伝えしてきましたが、副業を始めることによるデメリットも存在します。具体例を確認しておきましょう。

・長時間労働に伴う心身の疲労、健康管理
・本業、副業間の総合労働時間の管理
・本業、副業間のタスク管理の煩雑さ
・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務に対する高い意識を要する

企業には、従業員の健康管理を行う義務がある一方、自ら副業を開始する場合は、自発的な健康管理や本業・副業とのバランス調整なども求められます。本業に悪影響を及ぼすような副業を始めてしまった場合、企業からの信頼も失ってしまうでしょう。メリットだけに目を奪われ、安易に副業を始めることにより、思いがけないリスクを負う可能性があることを理解しておきましょう。

副業は「サブ」。だからこそチャンスに変えられる!

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【監修】
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所
特定社会保険労務士 武田 正行

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