企業・参加者双方に利益をもたらす社会人のインターンシップのメリット

社会人のインターンシップには、「就業体験」が主な目的である学生時代のインターンシップとは違う、多様なメリットが存在します。また、参加者自身だけではなく、インターンシップを実施する企業にとってもメリットをもたらします。この記事では、社会人のインターンシップで得られるメリットの具体例と、参加者がより多くのメリットを得るために必要な心構えについて紹介します。

参加者にとって考えられる社会人のインターンシップのメリットとは?

強み・弱みなど自分の市場価値の再確認に

「自分のスキルは社外でどこまで通用するのか?」ということは、将来のキャリアプランを考えている人にとって、気になるポイントです。

自社での高い評価が社外の人材市場での評価に直結するとは限りません。また、社内では評価されず、自分でもまだ自覚していないスキルや強みが隠れているかもしれません。社会人のインターンシップに参加する一つのメリットは、他企業の社員やインターンシップ参加者とフラットな立場で協働作業やディスカッションなどを行うことで、自分自身のスキルや強み・弱みに対する客観的評価を得られることです。「社外でどこまで通用するのか」といった自分の市場価値について、再確認できる点にあります。

社会人のインターンシップで試せるスキルは、例えば、英語力や財務の知識、プログラミングといった具体的なビジネススキル以外にも、「意見を取りまとめるファシリテーション力」「自分の考えを述べるプレゼン力」など、他者との関係性の中で実感できる能力もあります。インターンシップに参加して自分にはファシリテーションやプレゼン力があると実感できれば、今後への自信につながります。一方、もしもこうした能力が不足していると感じた場合は、自分の弱みを知り、改善の具体策を立てていくことができます。

異なる価値観を持つ人との出会いが成長と人脈の獲得に

社会人のインターンシップ体験者の多くが大きなメリットと感じているのが、「多様な人との出会い」です。

バックグラウンドの異なる人同士が率直に意見交換をすることで刺激し合い、個々の意見以上のいいアイデア創出につながることもあります。また、自分の考えをより進化させ、新たな気付きを得たりすることもあるでしょう。社会人のインターンシップは「参加して終わり」ではありません。違う環境で活躍する魅力的な人々、努力し続けている人々との出会いが、「自分も成長したい」という前向きな気持ちをもたらし、その後の本業への取り組みや勉強へのモチベーションアップにもつながります。

また、インターンシップの場での出会いが、その後も長く続く貴重な人脈となっていく場合もあります。横のネットワークは多ければ多いほど、自分の強みとなります。本業を継続していく上でも、キャリアプランを考える上でも助けになるでしょう。

外部目線の意見や企画・アイデア出しが社会貢献に

自分の会社以外の場所で「社会貢献したい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちを抱いている人は少なくありません。貢献できることの純粋な喜びと同時に、自分の能力が認められるという満足感も得られます。社会人のインターンシップと社会貢献は結びつかないと思うかもしれませんが、実はインターンシップは自分の能力を通じて企業や社会の役に立つことができる機会と捉えることもできます。

社会人のインターンシップでは、新商品の企画や新規事業計画などのテーマでディスカッションやワークショップを行うことがあります。また、企業のプロモーション戦略に対して、外部からの目線で意見を述べたり、社会のさまざまな課題に取り組んだり、インターンシップの内容は千差万別です。自分が現在所属する業界・職種・企業での経験や専門知識をもとに、意見を提供することで、貢献による達成感とともに、自分の知識やスキルへの自信の裏付けともなります。

一方、実務の経験が少なくスキルに自信がなくとも、貢献の形は多様にあります。企業が求めているのは経験やスキルだけではありません。「外部の人間ならでは」の率直な意見を求めているケースも多く、貢献し、感謝される経験が自分の能力をさらに伸ばしたいという意欲へとつながるでしょう。

社外を知ることが本業のモチベーションアップに

社会人のインターンシップでの体験が、本業のモチベーションアップにつながることもあります。「海外旅行を大いに楽しみ、帰国して日本のよさを再認識する」のはよく聞くことですが、同じように、社会人のインターンシップを経て自分の会社のよさに改めて気づくこともあります。また、「今の会社で自分が貢献できること」を再確認することや、「今の会社の目標」が明確になることもあるかもしれません。本業で日々のルーティンワークに慣れてきた人も、新たなモチベーションを持って取り組むきっかけになり得ることも社会人のインターンシップのメリットといえます。

転職前のキャリアプランの見直しに

「転職すべきかどうか迷っている」「転職したいが、自分のスキルに自信がない」など、転職を検討しつつ不安や悩みを抱えている人もいます。また、ゆくゆくは転職したいが、「どんな業種・職種が望ましいか」「大企業かベンチャーか」「自分にはどんな社風が合っているのか」などについて情報を得たいと考えている人もいるでしょう。このような人たちにとって、社会人のインターンシップはキャリアプランを固めたり、時には見直したりするための参考となる、貴重な経験やヒントをもたらしてくれるでしょう。

転職に直接つながるケースもあれば、つながらないケースもありますが、多くの人との出会いや社会貢献の機会など、インターンシップがもたらしてくれるメリットを活用し、長い目で見た自分のスキルアップやキャリアプランを考えることによって、どのような選択をするのがベターであるか、自ら答えに近づいていくことができるのではないでしょうか。

インターンシップ体験がキャリアに対する自信につながるという調査結果も

ここまで社会人のインターンシップへの参加によって得られるメリットについてご紹介してきました。興味を持っていただいた人も多いのではないでしょうか。ここでは、「どれだけ多くのメリットが得られるかどうかは、参加者の心構え次第」ということについてお伝えしたいと思います。

サンカク、二枚目の名刺 協働調査「副業を含む社外活動*がキャリア意識に与える影響」では、社外活動に参加した社会人が、どんな成果を得たかについて報告しています。この調査は、正社員300人以上の企業に勤める1000人の社会人を対象に行ったものです。調査では、参加者の目的意識を「社会貢献への意欲」「新規の経験・人脈獲得への期待」「キャリアチェンジの機会探索」「副収入への意欲」の4つに分類し、持っていた目的意識と得られた成果の因果関係を分析・報告しています。調査から、以下のような結論が得られました。

キャリアに対する自信についての因果構造

  • ・参加の目的として「社会貢献への意欲」「新規の経験・人脈獲得への期待」を挙げた人は「他社と影響を与え合う機会」を体験することによって、「自分のキャリアに対する自信」「社内・社外で活躍できる自信」を得ている。
  • ・社外活動への参加の目的が「キャリアチェンジの機会探索」や「副収入への意欲」のみであると、上記のような自信を得る結果には結びつかない。

つまり、社会貢献や経験・出会いに期待して「他者と影響を与え合う機会」を体験した人は、自分のキャリアに対する自信を高めることができたのに対して、転職のチャンスや副収入などが主たる目的である場合は、同様の成果を得にくいという結果です。

「他者と影響を与え合う機会」の一つが社会人のインターンシップです。社会人のインターンシップへの参加では、体験そのものの価値である、「人との出会い」や「社会貢献の機会」に照準を合わせてコミットすることで、より大きなメリットが得られるといえるでしょう。また、社会人のインターンシップは参加者同士で高め合う場所ともいえ、メリットを得たいと考えるなら、「自分はどんな貢献ができるか」を意識して参加する姿勢も大切です。「社会人経験が浅く、誇れるほどのスキルはない」という人も、インターンシップに参加する前に企業や業界の下調べをしたり、関連する本を読むなどして、意欲を持って参加してみましょう。

企業が社会人のインターンシップを受け入れるメリットとは?

社外からの斬新な意見が企業にイノベーションをもたらす

社会人のインターンシップは、実施する企業の側にもメリットをもたらします。最近では、社会人のインターンシップは企業のイノベーション推進にメリットをもたらすと考えられています。その背景に、「オープンイノベーション」の考え方があります。

オープンイノベーションとは、企業が社員だけでなく社外のメンバーとともにイノベーションを推進していく形式です(兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言 中小企業庁、2017年)。社外の知識や資源を積極的に取り入れて、社会に受け入れられる新しいプロダクトやサービスをスピーディーに生み出していこうという考え方です。

社会人のインターンシップへの企業の期待は拡大しているようです。「サンカク」で掲載している社会人のインターンシップの実例を見ると、「企業が保有するコンテンツの活用アイデア」「新しい技術のプロモーション戦略」のように広く一般社会人のアイデアを募るものから、「ソフトウェア開発」「組織改革」など経験者のスキルを求めているものまで、非常にバリエーションが豊富です。中には、自社サービスの販売戦略のような企業のミッションそのものについて協力者を募集している案件も見られます。

これらのインターンシップの実施で企業が得られるメリットは案件により多種多様なものだと考えられますが、共通点としては以下が考えられます。

  • ・「期間」や「特定のテーマ」を限定して、目的に特化した人材を集めることができる
  • ・社内のチームが社外人材との交流で刺激を受け、活性化する

企業が社会人のインターンシップを実施することにはデメリットもあります。休日などの時間を設定して社会人のインターンシップを企画・実施することは手間やコストがかかるもので、決して簡単ではないという点です。しかし、インターンシップによる成功体験を蓄積することにより、企業は多様なイノベーションの手法を手に入れ、社内の人材も活性化して成長力を高めていくことが期待できます。

社会人のインターンシップが企業の人材戦略の幅を広げる

社会人のインターンシップは企業の採用活動や人材戦略にもメリットをもたらします。インターンシップを通じて、従来の採用活動では接点を持ちにくい個性的な人材との接点を作ることが可能です。また、社会人のインターンシップを実施してみた結果、社内人材とインターンシップ参加者との意外な化学反応が予想以上のいい影響をもたらすこともあるかもしれません。このようなインターンシップでの経験の蓄積は、今後の採用活動に役立てることが可能です。そして、社会人のインターンシップの参加者が転職して自社スタッフになるという展開も結果としてはあり得ます。以上のように、社会人のインターンシップは、企業にとっても大きな、そして多様なメリットをもたらす可能性を持っています。

「魅力ある成長企業の現場に参画してみたい」。そう思った方は、ぜひ「サンカク」のインターンシップにチャレンジしてみてください。

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