失敗から学ぼう!

採用失敗ミートアップは採用に関わる失敗談を語り合うミートアップです。
成功の影には数多くの失敗があり、そこから得た学びは誰かの成功のヒントになるはず。


深刻な人手不足で、売り手市場の中途採用の現場。採用活動は限られた資源・コスト・時間のなかでの勝負。
要員計画を満たせないことや、入社後に応募者・現場の双方にギャップが生じることもあります。
「なんでこんな人を採用したの」と現場からの突き上げに苦悩する人事担当者も少なくないはず。
もちろん、失敗から学べる教訓も数多くあります。採用失敗談と解決のための方策を、3人の中途採用担当者に本音で語り合ってもらいました。

今回の参加者

大手メーカー人事部・Aさん
大手メーカーの新卒・中途採用、研修なと?人事全般を担当。会社としては新卒採用か?メインた?か?、タ?イハ?ーシティの観点から中途採用も継続している。会社のフ?ラント?力か?あるため、募集すると人は殺到するか?、ミスマッチ感をたえす?抱えている。
人材派遣会社人事部・Bさん
自社の常用雇用労働者を企業に派遣する無期雇用派遣事業会社て?、中途採用、人事制度運用、採用後の 研修も担当。毎年、新卒・中途合わせて500~600人を確保するかか?課題。「派遣」にまつわるネカ? ティフ?なイメーシ?を払拭するため日々奮闘する。
IT系ヘ?ンチャー人事部・Cさん
業務用ソフトウェアを開発するITヘ?ンチャー。海外展開もしており、社員は200名弱。中途採用、研修、労務補助、制度設計、人事広報と幅 広く担当。忙しくせわしない日々を送る

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第2回 企業イメージは、良すぎても悪すぎても苦労する

キラキライメージだけで応募がきても…。どうやって実情を伝えるか

――外側からみた企業イメージと会社の実情の間にあまりにもギャップがあると、採用に苦労するという話もよく聞きます。


当社の場合は、会社のイメージがクリーンすぎるというのが問題です。スマートワークの先進企業としてメディアで紹介されることも多いし、ワークライフバランスが充実しているというイメージがあるんでしょうね。しかし実際に入社すると、特に店舗へのセールスなどは泥臭い仕事も多く、「こんなはずじゃなかった」と言う人もいます。
人事としては、あえて採用プロセスでは生の仕事というか、できるだけリアル感を出して、「覚悟ありますか?」と尋ねるようにしています。かつてはそれができていなかったんですね。例えば、以前に女性営業の採用を強化したときは、キラキライメージを持ったまま入社して、ギャップを感じる人が多かった。その時の採用者で残念ながら退職された方も多くいます
人材のダイバーシティには課題を持っていて、人事としてはできるだけ「当社にはいないタイプ」の人も採用したいと思っています。ただやはり当社には、ストレスに強い、明るい、体育会系っぽいイメージがあって、その社風に馴染めるかどうかが基準になってしまう。
そうなると、大人しいタイプだけど、実は経理のスペシャリストだったりする人や、変わってけど、ものすごい技術のエキスパートがなかなか採れない。結果的にダイバーシティが進まないという悩みもありますね。実際、なんとか採用した異能人材も入社後は苦労しているみたいで、「飲み会に顔を出さないと、この会社ではやっていけないんですね」とぼやくのを聞いたこともあります。


「飲み会問題」は当社にもありますね。現場と人間関係を作るためには、飲み会を含めたコミュニケーションが欠かせない。そこで、会社紹介のときにさりげなく飲み会の様子を撮ったビデオを流して「やはり飲み会は大切。こういう場も楽しいですよね」と言ってもらったりしています(笑)。役員面接で「君、飲めるかね」とか質問されるのはまずいので、その前の段階で応募者に自然にすり込みしておくんです。


企業イメージとのギャップで言えば、当社はエンジニアがほとんどなので、そんなにみんなテンション高くなくて、落ち着いて黙々とコードを打ち込んでいるというのが実際の職場の雰囲気なんです。
以前は、ノリノリでワイワイさわいでいるようなテンションが高くみえる写真をホームページに掲載していたんですね。そのイメージに引きずられるのか、キラキラとしたイメージに憧れてくる人が多かったですね。そんなパリピみたいなシーンが毎日続くわけもないのに。それで、現場と相談してそうした写真は使わないようにしました。
最近、プログラミングスクールで勉強してきたエンジニアに多い話なのですが、リモートワークができるとか、自由に働けるんじゃないかという期待が、当社のブランディングとなぜかマッチしてしまう。そのイメージだけで来られるとがっかりされるんですよね。エンジニアリング会社の現実は、そんなにフワフワしていませんからね。
だから、当社としても、技術者が黙ってコードをゴリゴリ書いているという等身大の姿をもっと見せて、テックな会社であるというイメージを打ち出していきたいと思っています。今は自社のオウンドメディアで、毎週一人ずつ社員にフォーカスを当てて、インタビューした記事を出すようにしています。最近、こういう仕事に特化した採用広報が注目されていますけれど、私に言わせれば「何を今さら」という感じもします。企業ブランディングは人事の重要な仕事ですよね。人事の立場から常に自社の魅力を発信できていなければいけない。
自分たちで一次情報を発信していかないと、その情報はどんどん薄まっていくだけです。むしろ自社のオウンドメディアで広報した内容を、SNSや転職エージェントにばらまくぐらいのスタンスが必要だと思っています。

世間のイメージが悪いのは覚悟。足でコツコツ広げるしかない

――採用系のメディアがたくさんありますが、そういうチャネルはあまり使わないんでしょうか。


専門人材はそれに特化したメディアやエージェントを使うようにしていますが、その効果については、メディアがありすぎて判断がつかないというのが正直なところですね。きわめて集客力の高い媒体に広告を出すと、あまりにも人が来すぎて、選別の工数が異常にかかってしまうんです。
応募数が多いということは、ありがたいことではあるけれども、そのあたりが……。だからこそ、説明会ではちゃんと現実を見せるようにしているし、採用後も育成プログラムを提供して、コーチをつけたり、面談を重ねて、いわば手をかけて育てるようにはしています。
ただ、即戦力を求める役員には、「そんなに育てることに手間がかかるんだったら、新卒と変わらないじゃないか。中途採用してもあまり活躍していないね」とも言われる。たしかに中途はすぐに実績を出さないとダメですけれども、期待値が高すぎるのも困りますね。


その問題は当社にもありますね。だから、最近は新卒も中途も、現場に慣れるまでには最低でも一年はかりますということは、役員には伝えるようにしています。
それと先ほどの企業イメージとのギャップ問題ですが、派遣業というと世の中のイメージに左右されやすいです。不景気になり「派遣切り」の言葉が流行ったタイミングなんかは、採用が厳しくなりますし、ドラマ等でポジティブに派遣のしごとを伝える番組があると応募は増えていきます。これを改善するためにはやはり草の根活動、足で稼ぐしかない。新卒の場合はやはり大学の先生のもとを頻繁に訪ねて学生を紹介してもらうし、中途採用の場合も、エージェントの説明会に行かせてもらって、ありのままを説明するしかないですね。

まとめ

企業イメージはポジティブでもネガティブでも現実とのギャップがあれば、その事が原因で失敗やトラブルに繋がるケースがあります。そんな失敗を経験し、どの採用担当者も入社後のトラブルリスクを軽減するためにも、正しい企業理解のために「ありのままの姿」を応募者に伝える事を大事にされていたのが印象的でした。

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