―「働き方改革」-働き方を変えようという動きが国内を駆け巡ったこの数年。働き方を変えるということでどのようなことが起こったのか。労働時間の短縮だけがフォーカスされがちだが、現実は異なる。
働き方が変わったということは、社員の働くことに対する価値観そのものの変化と多様化を促したということ。働き方改革だけではない。2019年には終身雇用の終焉がより顕著となり、年功序列の変容、人材流動化の活性、副業解禁など、誰もが同じ山を同じように登り続けることが「正」ではないということがはっきりと見えた。
個人と組織の間に横たわっていた主従に近い構造が、ゆるやかに対等な関係へと変化し始めている。
個人と組織の関係性が変わっていく中で、何を道しるべとして個人と組織が手を取れるのか。
― 新しいエンゲージメントの形。それを、これからの個人と組織の大事な指標だと捉えている企業が、株式会社NEWONE(ニューワン 以下NEWONE)。「あたらしい、個人と組織の関係を」というタグラインを生み出し、この時代に即した事業を推進している。
組織づくりを向上させる「エンゲージメント・ゲーム」、管理職に向けた組織開発プログラム「weONE」、人生100年時代を意識したシミュレーションサービス「MIRAIZ」などのキャリア自立支援、など、仕組み・研修の設計やコンサルティングサービスを開発している。
NEWONEは20代・若手社員と組織との関係性を高めるため「Project NEW20’s」を2019年4月に発表した。
このプロジェクトの特徴は、若手社員が仕事そのもののおもしろさを見出すことに価値をおき、それを起点に、「仕事の中で自分がどうしたら主体的に動けるのか」、「その仕事や結果から何が得られるか」、という観点を伝えている。
このプロジェクトが立ち上がった経緯を小野寺さんに聞いた。
「現在仕事の高度化が当たり前になり、どの企業もイノベーションを求めています。そのような環境では、ただ言われたことを言われたままやるのではなく自らの頭で考えて動く主体性が必要になってきています。この“一人一人が自らの頭で考える”時代と、今の20代が仕事に求める価値観は、実は親和性が非常に高いと思っています」
Project NEW20’sを推進する中での大きな柱でもある「Accela(アクセラ)」というビジネスシミュレーションのサービスは、インプットする座学が多い研修とは異なり、自らの体験を通して内発的動機に気づいていくもの。
「仕事」とは何か。自分は仕事からどんな価値を得たいと思っているのか。そんな本質的な問いかけが仕事への主体性を目覚めさせることにつながっている。
このAccelaは1日でおこなうパターンもあれば、企業の課題感に合わせたカスタマイズもおこなっている。
「これまでの新卒研修の多くは“正解に向けて適切に行動する”ということを伝えるため、ロールプレイングで実践し基準値とのギャップを見せて学ばせていました。レールを引いて“早く走れ”というような。ですが今の20代はそのレールを走るかどうかを決めていません。もっと言うとこの会社で働き続けるかどうかさえも。
内発的動機を大事にしている世代なので“昇進できない”“お客様に迷惑をかける”“仕事だからやらなくちゃいけない”という言葉ではいまいちアクセルをふめない。だからこそ、プロジェクトテーマである【主体的に行動することで仕事をおもしろくできる】、ということを伝えているのです」
「最近仕事どう?」「すごく面白いよ。価値ある仕事が出来ている実感がある」 そんな会話がアタリマエの社会の実現を目指して。