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たった半年でのべ利用者数50万人を突破した保険サービスを創出!“リスクソリューションパートナー”から“事業戦略パートナー”へと舵を切る東京海上日動の挑戦

東京都がGoToトラベルの対象に追加された2020年10月1日、新型コロナウイルス感染症に備える、ある保険もスタートした。それは、とある大手航空会社(以下、X社)で販売されるすべての国内パッケージ旅行に付保される「あんしんのお守り」だ。利用者は、2021年3月末までの半年間で50万人以上になると見込まれている。

航空業界とタッグを組み、この保険を開発したのが東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)。コロナ禍の旅行におけるニューノーマルとなりそうな商品だが、どのような経緯で創出されたのだろうか。開発に携わった企業営業開発部の森岡秀祐さんに、新たな保険商品の生み出し方について聞いた。

たった3カ月で商品化に至った異例の保険

「あんしんのお守り」は、旅行中から旅行後14日以内に新型コロナウイルス感染症を発病した場合に、お見舞金が支払われるという内容の保険。旅行者が個々に加入するものではなく、国内パッケージ旅行に自動的に付保される形式になっている。

「コロナウイルスに対する保険を考え始めたのは2020年6月頃、Go Toトラベル事業が検討され始めた時期でした。緊急事態宣言で大きな打撃を受けた旅行業界を盛り上げるべく、安心・安全な旅行を楽しんでもらおうと国策として推し進められていたので、我々もそこを後押しできる商品を作れないかと動き出しました」(森岡さん・以下同)

その頃、東京海上日動の営業部門がX社と対話をするなかで、「保険会社として、どうしたら航空業界、旅行業界の役に立てるか」という課題が出てきていたそう。

「営業部の課題と企業営業開発部の意向が合致し、『現実的なニーズを把握しているのは旅行会社だろう』という話になり、X社に声をかけて保険商品の開発を始めました。コロナウイルス感染防止やGo Toトラベルに対して航空会社が考えているプロモーションの方向性を伺い、旅行事業にさらなる勢いと安心・安全をつけられる保険を検討していったのです」

当初はいち早く展開するため、感染症を対象にした既存の保険をマイナーチェンジする想定だったが、その保険には加入から10日間の免責期間が設けられていた。出発の直前に旅行を予約した場合、旅行中が免責期間に当たってしまうことが懸念され、新たな商品を作る必要があるという判断に至った。

「あんしんのお守り」は、コロナウイルスの潜伏期間も踏まえ、旅行中から旅行後14日間が保障されるが、このアイデアはX社のマーケティング担当者から提案されたもの。互いに意見を出し合いながら、現在の形に近づけていったとのこと。

「社内でも、我々と営業部だけでなく商品造成のチームも巻き込み、既存の商品のどの部分をアレンジできるかといったアドバイスをもらいながら、具体的なソリューションに落とし込んでいきました。また、ほかの旅行会社でも同じようなニーズはあるのではないかと考え、旅行業界を担当している営業部と連携し、X社以外の大手旅行会社にもヒアリングを行いました。『その保険ができたら、うちも採用したい』という声を多くいただきましたね」

話を進め始めてから、リリースまでにかかった期間は3カ月。新たな保険商品の開発としては異例のスピードだという。

「今回の『あんしんのお守り』は、GoToトラベルのタイミングを逃したら意味を成さない商品ですし、国策に寄り添って社会課題の解決に寄与できるという大きな役割も担っていたので、社内で予定されていた他の開発案件と調整してスピーディーな開発を実現したケースです」

世の中に求められている商品をいち早く届け、顧客企業やエンドユーザーの安心につなげたい。そんな東京海上日動の思いと柔軟な社風がうかがえる事例だ。

“顧客企業の成長”を創出する事業戦略パートナー

今回紹介した事例のように、東京海上日動ではただ保険商品を提供するだけでなく、他業種の企業と一緒に「事業・サービスを共創する」というスタイルを取り入れ、“リスクソリューションパートナー”から“事業戦略パートナー”へと役割を進化させている。

「保険会社というと、『この保険いりませんか?』という営業をしているイメージが強いと思います。確かに、かつては非常時に保険金が支払われるという仕組み自体に価値があり、商品を提供していれば良かった時代がありました。しかし、1990年代に保険の自由化が行われてから、保険会社は新たな一歩を踏み出し、『この手段を講じたら、リスクを減らせます』といったリスクコンサルティングの分野に乗り出していったのです」

森岡さんのいう「リスクコンサルティング」こそ“リスクソリューションパートナー”の考え方。そして今、東京海上日動はさらなる一歩を踏み出しているのだ。

「リスクコンサルティングの面も各社で差がなくなってきた時期に、我々が次の一歩として選んだものが“事業戦略パートナー”という道でした。当社の営業部門は、お客様に寄り添ってさまざまな悩みを聞きながら、マッチする商品を提案する能力に秀でているという自負がありました。そこから一歩進んで、“お客様の事業を伸ばすサポート”という観点で、保険を提案できるのではないかと考えたのです」

社内で「保険はいざという時にお客様を助けるだけでなく、平時でも役立つものがある」というマインドセットを浸透させるべく、デザインシンキングの研修やスタートアップのCOOをゲストに招いた勉強会などを開催したそう。

「『保険が企業のマーケティングやプロモーションに役立つ』ということに納得感を持ってもらえるように、地盤作りをしていきましたね。成功事例を積むことも大切なので、事業戦略パートナーとして成約した案件は、社内で大々的に報告しました。その結果、現在はほぼすべての社員が『マーケスキルなしでは営業はできない』と考えていると思います」

顧客企業と事業を共創していくうえでの重要なポイントを森岡さんに聞くと、「インプット」という答えが返ってきた。

「事業を作り出す第一歩として、こちらから仮説をぶつけることが大事だと思っています。例えば、空飛ぶ車が実用化されたら、航空業界ではどのようなリスクが想定されるか考え、航空会社に投げます。その時は形にならなくても、後々ニーズを引き出すことにつながるのです。そして、仮説を立てるには、世の中の変化をキャッチアップすることが重要。事業戦略パートナーとして成功している社員は、インプットの量が多い印象です」

自身も新たな事業を生み出してきた森岡さんに、事業戦略パートナーの面白さを聞いた。

「自分のアイデア次第で、保険商品の見せ方を変え、意味の異なる商品として世に出していけるところでしょうか。最近の事例ですが、企業向けの情報漏洩保険をベースに、見せ方を変え、個人向けのテレワーク保険としてPCに付保して提供したことがあります。今は変化が激しい時代ですが、世の中の変化を追いかけるほど新しい保険が生まれるので、その最前線に立てる事業戦略パートナーの仕事はとてもやりがいがありますね」

東京海上日動の事業戦略パートナーとしての価値創造を体感できるワークショップを開催

事業創生というクリエイティブなビジネスを展開し、既存の保険会社のイメージをくつがえしている東京海上日動が、実際の業務内容を体験できるワークショップを開催する。

事業戦略パートナーの仕事を体感することで、視野が広がり、さまざまな可能性に気づくスキルが身につくといえるだろう。あらゆる業種において、役立つ経験になるはずだ。

保険会社に興味がある方、事業の創出に携わりたい方、新たな視点で物事を考えられるようになりたい方は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか?


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