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【イベントレポート】
DX時代のマーケティング・顧客体験設計とは?~博報堂ならではのプランニングを体感するワークショップにサンカク!~
近年、テクノロジーの進歩により、企業と生活者(消費者)との関係に変化が生じていると言われています。こうしたなかで、プランニングとテクノロジーを掛け合わせた新たな時代の事業開発に取り組むのが、博報堂の「マーケティングシステムコンサル局(MSC局)」です。

MSC局とは、博報堂が長年培ってきたクリエイティビティに、システム・データ領域の専門性を掛け合わせ、クライアント企業の事業成長を支援する専門集団のこと。事業コンサルタントやUXプランナー、システムアーキテクト、デザイナーなどさまざまな職能をもったメンバーがチームを組み、事業開発において構想から実装までを一気通貫で行っています。

今回は2019年12月11日に、博報堂本社で開催されたワークショップ「DX時代のマーケティング・顧客体験設計とは?~博報堂ならではのプランニングを体感するワークショップにサンカク!~」についてレポートします。

今回のワークショップでは、IT系やメーカーなどさまざまな業種の方が参加する中、MSC局のメンバーも加わり、MSC局が実際の事業で使う技術やノウハウを活用しながら、仮想クライアントに対する構想制作を行いました。

≪当日プログラム≫
*MSC局・田村さんからのレクチャー
*テーマをもとに構想制作ワークショップ
*個人ワーク
*グループワーク
*グループごとの構想を提案
*懇親会

■「生活者がうれしい」サービスとはなにか

まずはMSC局のメンバーである田村さんのお話です。MSC局についての紹介や実際に使っているスキルや考え方について、さまざまな事例を紹介しながらのレクチャーがありました。

≪田村さんのプロフィール≫
株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
エグゼキューションデザイン部 部長

事業会社にて約10年間、事業・サービス開発に従事した後、博報堂へ。
様々なクライアント企業に対して、デジタルとリアルを横断した顧客体験設計・サービス開発などを支援している。

「これまで企業は、生活者(消費者)へサービスや商品を提供、販売するなかで、広告というチャンネルを用いてコミュニケーションするというのが一般的でした。しかし今では、さまざまなデジタル技術やデバイスの登場により、それが変化してきています。売った後にも顧客体験(CX)を通して、生活者と直接つながりながら、関係性を深めていくことが求められるようになってきました」

このデジタルトランスフォーメーション(DX)時代の到来により登場した「顧客体験(CX)」という新たな領域に、MSC局は専門的に取り組んでいます。
例えばDXには、「MaaS」「スマートシティー」などさまざまキーワードが存在しますが、それらのキーワードひとつひとつが実際の生活者にとって何を意味しているのか(どんな価値があるものなのか)は、もう一歩踏み込んで考えることが必要です。

「このスーパーはオムニチャネルだから利用しようとか、あの街はスマートシティーだから住みたい、というようなことを言う生活者はいません。しかしクライアントから、さまざまなキーワード導入の要望があります。そこで、こうしたキーワードを『生活者にとってうれしいもの』に変換していく必要があります」

■プランニングとテクノロジーをつなぐ

博報堂はこれまで広告を制作するなかで、クライアント企業の事業や商品の資産、強みがなにかを見つけることを得意としてきました。そのような視点から、いまサービス開発に取り組むにあたって、大きな課題があるといいます。それは「プランニングとテクノロジーとの分断」です。

「プランニングとテクノロジーの間には分断が起こることが多いです。例えば新たなサービスを提案したのはいいが、実際にシステムをつくろうとすると莫大な費用が必要になる、といったことが起こりがちです。そこでMSC局では、事業構想の段階からテクノロジーの専門家も一緒に開発に加わることで、こうした分断が起きないように努めています」
このように、クライアントの強みを理解し生活者価値に置き換えること、それを実現するためのテクノロジーやシステムがなにかを考えること、そしてそれらをクリエイティブに掛け合わせることが重要だと田村さんはいいます。MSC局ではこれらの観点を重要視することで、プランニングとテクノロジーとの分断を起こさない、新たな事業開発に取り組んでいます。

これに加えMSC局では、さまざまな専門性をもったスタッフが、構想から実装までを一気通貫して取り組んでいます。構想から実装までの段階を分業して、それぞれを専門にやるチームが多いなか、1つのチームとしてそれら全てに取り組むことがMSC局の大きな特徴といえます。

■体験をシンボリックにつくること

そして田村さんより、さまざまなサービスを開発するうえで、もう1つ重要なエッセンスについて紹介がありました。それは、「体験をシンボリックにつくること」です。

ある課題に対する解決策として、サービス提供側は、さまざまなサービスや機能を盛り込んでしまいがちです。しかし、サービスや機能が多すぎると、生活者が「十分に使いこなせない」という事態を生み出してしまいます。こうした事態を避けるためにも、生活者価値を体現できる強みを見つけ出し、そこにサービス提供者の限られた時間や資金を集中投下することが大切なのです。

■グループワークで実践


田村さんのお話のあとは、その内容を踏まえたうえで、ワークショップに取り組みました。
参加者の皆さんは、さきほど紹介されたMSC局のノウハウを使いながら、個人ワーク、グループワークによって実際に構想をつくりあげていきます。

まずは個人でのワーク。
あらかじめ用意されたシートに、参加者さんが自らのアイデアを黙々と書き出していきます。あちらこちらで付箋にアイデアを書き出したり、イラストでアイデアを形にしたりする様子も。参加者さんがそれぞれ真剣な眼差しで課題に向き合います。

そしてグループワークへ。
参加者さんがグループをつくり、メンバーと意見を交わしながら、グループとしての構想を形にしていきます。静かだった会場が一変し、熱い議論が交わされました。そこでは、複数のアイデアをホワイトボードに書き出し、視覚的にまとめる様子も多く見られました。

ワークも終盤になると、どの参加者さんも立ち上がって、議論にさらに熱が入ります。

■多彩なアイデアを「シンボリックな1つの体験」に絞り込む


このように個人ワーク、グループワークとそれぞれ取り組んだ後、各グループでまとめた構想について発表。それぞれのグループに参加したMSC局のメンバーから、グループでの様子や提案した構想へのフィードバックがありました。

最後に田村さんは、今回のワークショップ全体を通した講評として、「生活者がうれしいことはなにかを考え抜くことが大切。それを全員で考え体感できた」と締めくくりました。

■短時間でも濃厚なワークショップ

ワークショップ終了後の懇親会にて数名の参加者さんよりコメントをいただきました。

「個人ワークでは、普段やっている仕事の目線でしか考えなかったが、グループワークでは他の参加者から、自分では出せないさまざまなアイデアが聞けたことで、大きな刺激になったと思う」

「ワークショップでのテーマが抽象度の高く、内容が濃いものだったために、短い時間のワークでも多彩なアイデアや提案が出され、興味深い内容だった」

「普段の生活や仕事上では関わり合うことのないような、さまざまな業種や職種の方と知り合ったり、一緒にアイデアを出したり議論を重ねることができ、参加してよかったと感じた」

懇親会では、参加者さん同士やMSC局メンバーとの議論が時間ギリギリまで交わされ、盛況のうちにイベントは終了しました。

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