企業理念として“未来創発”を掲げ、社会を進化させる新たなビジネスモデルを創り出すことを使命としている野村総合研究所(以下、NRI)。今後、国内外でのDXがさらに加速していく中、現場の最前線で活躍するシステムコンサルティング事業本部の正垣潤さん、武内麻里亜さんに求められる役割の変化や、その面白さについて聞く。
NRIでは、ただ事業を成功に導くだけではなく、いかに社会に貢献できるかという視点も重視している。また、近年はクライアントに対する提案の形が、変わってきているそう。
「かつては専門家としてITの知見を提供し、課題解決を支援するコンサルティングが主流でしたが、現在はお客様と同じ目線で議論を重ね、ともに新しいビジネスを共創し、その稼働にも参画するというモデルに変換してきています。少し前まで、主体者として新規事業開発やプロダクト開発に携わりたい場合、事業会社で働くキャリアを選択される方が多かったかもしれませんが、コンサルティング業界も非常に面白い業界になってきていますね」(正垣さん)
「最近は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れのなか、ITを活用した新ビジネス創造が求められています。以前は既存事業の業務効率化・自動化のためにITを活用していましたが、近年はITを活用した事業変革・事業創造に取り組むお客様が増えています。その支援を行うためには、ただコンサルタントが専門性を提供するだけでは足りず、お客様視点に立ち、ともに考えていく姿勢が必要になるのです」(武内さん)
このように、DXの大きな流れの中で、コンサルタントの役割として重要性を増す事業開発や新価値創造の側面を体感できるワークショップが、2020年11月にオンラインで開催された。
テーマとして、正垣さんと武内さんが所属する産業ITコンサルティング二部が実際に担当している不動産DXの分野を取り上げた。「コロナ時代におけるオフィスやワークスペースの新価値創造」という実際のプロジェクトさながらのワークを、3時間で収まるかたちで実施。参加者は4人1チームとなって、熱い議論を交わした。
「システムコンサルティング事業本部での社会人向けインターンシップの開催は、初めての試みだったので、テーマ設計には頭を悩ませました。不動産のプロフェッショナルが参加されるかもしれないので、どこまでリアリティを持たせるかがカギでした」(武内さん)
「3時間というリミットもあったので、もっともクリエイティブなアイデア出しの部分にフォーカスすることになりました」(正垣さん)
開催にあたって、参加者に期待したものは「チームワーク」と「個性の発揮」。今回は初対面同士でチームを組むというワークショップならではの難しさだけでなく、オンラインというコミュニケーションが困難な状況も合わさったため、より一層チームビルディングの能力が求められた。
「NRIの業務も基本的にはチームで進めますし、最高のパフォーマンスを発揮するためにもチームワークは必須だといえます。ワークの中でも、互いの意見を捉えながら建設的なディスカッションを行い、議論の結果をわかりやすく伝える能力は重要になると考えていました」(武内さん)
「参加者はコンサルティングや不動産ビジネスを本業とする方だけでなく、鉄道会社や製造業など、業種が幅広かったので、それぞれが持つ専門知識やビジネスの見方など、個性を発揮していただきたいという思いもありました」(正垣さん)
好評を博した今回のワークショップ。その第2回目が、2021年2月20日(土)に開催される。
DX時代におけるコンサルティングの役割やビジネスモデルの変化を語る記事を見かける機会は多くなっているかもしれないが、実際に参加型のワークショップというかたちでその要素を体感できる機会はあまりない。
ぜひ、DXに興味のある方、新規事業創出に携わりたい方、これからのコンサルティング業界に触れてみたい方は、参加を検討してみてはいかがだろうか?