auブランドのモバイル通信やICTソリューションを提供している電気通信事業者・KDDIは近年、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメントといったライフデザイン事業を積極的に展開している。そして、今後は「教育」の分野にも参入していくとのこと。そこで、経営戦略本部の大門寛士さん、山下明子さんに、KDDIが進める教育事業の現状とこれから、通信事業者だからできる取り組みについて聞いた。
「2017年に英会話教室を展開するイーオンホールディングスの事業売却の話があり、我々が手を上げたところから、教育分野への参入を進めてきました。教育は幅広い年代にニーズがあるという部分が、通信事業との共通点でもあるので、イーオンホールディングスと一緒に新たな事業を作っていけるのではないかと考えたのです」(大門さん)
「実際に教育の現場に出ると、想定していた以上にデジタル化が進んでいないという課題が見えてきました。通信事業者として、解決できる領域は大きいなと感じましたね。まず進めたものは、英会話教室内部のオペレーション効率化のDX。生徒台帳をタブレットで見られるようにして、紙ベースだった運用を変えていきました」(山下さん)
コロナ禍では、生徒とのタッチポイントにおいてもDXを進めなければ、授業を存続させられないという壁も出てきた。オンライン授業に踏み出すことで、既存のオンライン事業者との差別化やシステムのオートメーション化など、新たな課題が出てきている。
「教育での通信の活用とともに、英語やSTEAM(※1)、キャリア教育などの“新たな教育領域”でも勝負していきたいと考えています。我々のような教育の素人だからこそ、教育改革で必要とされている新たな分野に入っていきやすいし、変革も起こせるのではないかと思うのです」(大門さん)
2020年11月、KDDIが教育事業を展開していることを広く知ってもらうべく、「デジタル技術×教育ビジネス改革」という切り口で、オンラインでのワークショップを開催した。
「通信事業者であるKDDIが教育事業を手掛けていることはあまり知られていないで、まずは私たちの思いを知ってもらいたいという期待を込めて、私達の部署でワークショップを開催しました。参加者の方にワークを通じて事業に触れてもらうことで、当社に興味を持ち、提供しているサービスについてより深く知ってもらえたらうれしいなと考えたのです」(大門さん)
ワークショップでのディスカッションテーマは中高生をターゲットに、「新たな教育領域を軸としたスクールビジネスの立案」。大門さんが話してくれた英語・STEAM・キャリア教育等の新しい教育領域を意識した内容だ。テーマに沿って「コンテンツ開発・調達」「マーケティング」「デリバリー」「アセスメント」というプロセスで議論を行い、独自価値を生み出していくという構成だった。
「『中高生』をターゲットとしたのは、誰しもイメージしやすい対象だと考えたからです。社会人をターゲットにすると、人によって働き方も学びたいものもバラバラなので、アイデアが思いつきにくいですよね。今回は70分という限られた時間だったので、初対面のメンバーとも話しやすく、意見の統一がしやすいテーマにしました」(大門さん)
当初、教育関係に身を置く参加者が多くなるのではないかと予想していたが、実際はコンサルティング会社やベンチャー企業など、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者が集まり、年代も20代前半から30代後半と幅広かった。
「私たち自身がオンラインでのワークショップの経験がなかったので、チャレンジという意識もありました。ただ、参加してくださった方々のレベルが高かったので、議論もスムーズに進み、大きなアクシデントは起きなかったです。オンラインだと互いの空気感がつかみづらいので、参加者が楽しんで集中しているのか、飽きてしまっているのか、判断が難しいところはありましたね」(大門さん)
今回のワークショップは参加者の満足度がかなり高く、「通信業者という立場から事業を考えるいい経験になった」という声が聞こえてきた。
そして、2021年2月26日(金)に、第2回の開催が決定している。大手通信事業者が新たに取り組むビジネスに触れるチャンスであるとともに、教育事業を進める社員の生の声が聞ける貴重な場になることだろう。
教育ビジネスに関心が高い方だけでなく、通信事業者としてのKDDIのアセットを活用した事業開発に興味がある方にも見逃せないワークショップ。まずは、詳細をチェックしてみよう。
申込期限は、2021/02/24(水)12:00、集客状況によっては、早い段階でエントリーを締め切る可能性があるとのこと。興味がある方は早めにエントリーをしよう。