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僕は、個人の力を武器にしながら組織で闘っていきたい
──motoさんが語った「これからの時代のキャリア戦略」

人生100年と言われる時代。転職や副業を経験する人も増え、一生のうちに複数の組織で働くことが当たり前になりつつあります。しかし、これまで1つの職場や仕事しか経験したことがない人にとって、転職や副業は中々ハードルが高いもの。何から始めればいいのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、地方のホームセンターやリクルートなど5回の転職を経験して、現在はベンチャー企業の営業部長と人材広告会社の経営を手掛けるmotoさんに、これからの時代のキャリア戦略についてお話をうかがいました。

ビジネスマン・事業家 motoさん

1987年長野県生まれ。主にSNSで転職や副業、年収に関する発信をしているサラリーマン。2019年に発売された著作『転職と副業のかけ算』はAmazonランキング ビジネス・経済ノンフィクション1位を獲得。副業ではブログ「転職アンテナ」を事業化し、会社経営もしている。

転職アンテナ:https://tenshoku-antenna.com/

Twitter:https://twitter.com/moto_recruit

普段の何気ないコミュニケーションの中に価値のある情報のヒントがある

──motoさんは転職経験を書いたブログから現在の副業がはじまったと聞いています。ご自身の経験がビジネスに活かせると気づいたきっかけを教えてください。
moto:日頃、自分が会社員をやる中での何気ないコミュニケーションから気づくことが多いですね。例えば、飲み会で友達が「転職しようか悩んでるんだよね。でも、どの転職サイト使ったらいいか分かんなくて」とか。僕はこれまで転職を5回してきたので、自分の経験から転職について話をすると「あの転職サービス、実際に使って良かったわ」と言ってもらえることがあったりしたので、自分の経験が誰かの役に立つということに気が付きました。
僕は「知見が共有されにくい領域」で個人が情報発信することには価値がある、と思っているのですが、そもそも多くの人がサラリーマンをやる中で困っているポイントというのはたくさんあります。
そうしたニーズに対して、自分が持っている知見を活かして人の役に立つかたちで発信をしようと思ったのが副業をはじめたきっかけですね。

──きっかけは身近なところにあるということですね。でも、役立ちそうな情報を持っていても、人に届くかたちで発信するにはそれなりの技術が必要な気がします。
moto:最初は試行錯誤しましたね。でも基本的には本業で培ったスキルを個人に転用してやっていました。中でも「発信する力」については本業で鍛えることの方が多かったですね。どんな仕事でも、自分の考えや知見を共有する場ってあるじゃないですか。例えば、会議でみんなに自分のやったことを共有する時は、いかに分かりやすく伝えるかを考えますよね。これはSNSなどでも同じで、不特定多数に発信する場合でも、誰にでもわかりやすく自分のことを伝える力が必要になります。副業であっても、誰かを相手にする以上、思考し続けることが大切だと思います。

──発信する能力を鍛える機会はどんな職場にもあるということでしょうか。

moto:あると思います。ただ、上司に言われたことだけをやって、機会を待っていたら得られるものは限られます。「自分はこの会社をこうしていきたい」とか、「会社のためにこうやった方がいいかも」など、自分で考える姿勢を持つことが学びを得る機会につながると考えています。

「個人の力を武器にしながら組織で闘う」という副業戦略を推進していく

──フリーランスや起業など働き方の多様性が広がる中で組織に所属するメリットはどんなところにあると考えていますか?
moto:個人では扱えない大きな仕事を経験できることですね。会社員よりフリーランスの方がいいみたいな風潮もありますが、僕は、組織の中でしか経験出来ないことにも価値があると思っています。組織の中には自分とは考えの違う人がいて、そうした人たちと同じ仕事に向き合う必要がある。どういう考えが交じり合って、どのような化学反応が起きて、どんな成果に繋がるか、みたいなことは大きな組織にいるからこそ学べることではないでしょうか。

──逆に組織に所属するデメリットはあると思いますか?
moto:コロナによる環境変化で、リモートワークなどが進み、場所や時間に縛られなくなった今、会社員であるデメリットはあまりないのでは?と思っています。今はフリーランスにならなくても、社外の仕事をする機会があるわけじゃないですか。これまでは、社内業務しかできませんでしたが、今の時代は、複数のキャリアを持つことができるので、組織に所属するデメリットはあまり感じていませんね。

──motoさんはこれからも会社員と個人事業主のパラレルキャリアを続ける予定なのでしょうか?

moto:続ける予定でいますが、僕は、個人で出来る価値提供は今が限界なんじゃないかと思っています。個人で独立したところで新しい価値を世の中に提供することは出来ないと感じているので、「社外に自分の組織をつくる」という選択をしています。より多くの人に価値を提供しようと思ったら、個人でやるより組織でやった方がスピードが出る。なので、これからは「個人の力を武器にしながら組織で闘う」という副業戦略を推進していきます。

とりあえず話だけ聞いてみて、やれそうなことからはじめてみたらいい

─コロナ禍の中で人々の暮らしや働き方に対する考えが変化してきているように感じます。motoさんはこの変化をどのように捉えられていますか?
moto:僕は、本質的な部分において世の中はそこまで変わっていないと考えています。仕事で求められる成果や、世の中から必要とされている価値という部分において本質は変わってなくて、成果や価値提供を行うための手段が変わっただけだ、と。つまり、これまでの働き方とは違ったやり方で同じ成果を出してください、と問われているだけなので、これまでのやり方に固執せずに思考し続けることが大切になってきているのではないでしょうか。極端な話ですが「働く」ということ自体も手段の一つでしかないので、変化に柔軟に対応できるような素地を持っておくことがこれからのビジネスマンには必要だと思います。働く上でも会社に依存するのではなく、本業のリスクヘッジを副業で行い、副業のリスクヘッジを本業で行う、くらいの働き方をしておくことが大事だと考えています。

─最後に、メッセージをいただけますか。
moto:本業以外の環境で働くことに興味はあるけど、中々一歩が踏み出せないという人は、その背景にどんな感情があるのかを考えてみてください。その一歩を踏み出せない背景を突き詰めていくと「自分には何ができるかわからない」とか「やってみたいことがない」みたいな感覚があるのではないでしょうか。僕もそうした感覚を持っている時期がありました。
僕はこれまでの転職活動で様々な会社を訪問して、経営者や事業の責任者の方とお会いして話を聞いてまわったことがきっかけで、「これだったら出来るな」とか「これはやってみたいな」という気持ちが出てくるようになりました。仕事は「何をやるか」だけでなく「誰とやるか」も大切なので、いきなり転職しようとか、副業しようと考えなくても、とりあえず話だけ聞いてみて、自分が興味を持ってやれそうなら取り組んでみたらいいのでは、と思います。その行動力を持てるかどうかがキャリアを左右する大きなポイントかもしれません。
副業であれば転職よりもハードルは低いと思うので、本業以外の会社でも、経験を積んでみるのが良いと思いますよ。

■編集部より

企業に所属しながらパラレルキャリアを歩むmotoさんだからこそのお話を伺うことができました。
最後のmotoさんのメッセージにもありますが、本業以外の環境でいきなり働くというのはハードルが高く、なかなか踏み出せないものだと思います。まずは話を聞いてみる、やってみることでも十分に一歩踏み出せていますし、やってみて気づくこと、得られることもあるでしょう。
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